親友に彼女を取られて奮起した僕の大逆転劇

彼女を取られる

彼女を取られる休日、駅前を一人で歩いていた僕は、思いがけず彼女の姿を見かけた

声をかけることができなかった。

男と仲睦まじそうに手を繋ぎ、談笑していたからだ。その男は、紛れもなく、僕の親友だった

翌日、彼女を自宅に呼び出し、親友との関係を問い質した。

しかし彼女は白を切るばかり。

業を煮やした僕は、[st-kaiwa6]「昨日、駅前で君と親友が一緒にいるところを見た」[/st-kaiwa6]と言った。

すると彼女はこう答えた。

「手を繋ぐくらい、当たり前じゃない。だって私は、あなたの親友と付き合っているんだから」

驚いた。それと同時に、納得がいかなかった。

僕も親友も顔は平凡。イケメンに心を奪われたならまだしも、なんであいつを好きになったんだ?

「もうあなたと付き合うわけにはいかないから、別れましょう。さようなら

恋人は一方的に告げると、さっさと店を出て行った。僕はショックのあまり、彼女を呼び止めることさえ出来なかった。

振られたのは僕自身の甘えも?

なぜ僕は彼女にふられたのだろう? なぜ彼女は親友のことが好きになったのだろう?

悶々と思い悩んでいるうちに、彼女がよく僕に言っていた言葉を思い出した。

「髪型とか、服装とか、体型とか、もっと気をつかったらどうなの?

僕は自分の見た目に無頓着だ。

そんなルーズな性格が気にならないからこそ、彼女は僕のことを好きになったのだろう。

そう思っていたから、彼女に何を言われても何の努力もしてこなかった

一方の親友は、最近になって、髪型や服装に気をつかい始めたようだった。ダイエットを始めたとも言っていた。

自分磨きをしている親友と、何もしていない僕。

どちらも同じレベルの顔なのだから、親友の方に惹かれたのは当たり前だ。

悔しかった。情けなかった。もう二度と、こんな思いは味わいたくない

一から自分を磨こう。時間がかかったとしても、いつか必ず魅力的な男になって、僕をふった女よりも魅力的な女性を恋人にしよう。

幼稚な発想だったかもしれないが、僕はそう強く決意したのだった。

僕はこうやって男を磨いた

僕はまず、これまで自分にあまり縁のなかった、二十代男性向けのファッション誌を買い漁り、魅力的な男になるためのヒントを探した。

いい男の条件は数多く挙げられていたが、よく目にしたのは、「清潔感がある男はモテる」という指摘だった。

清潔感。それを意識して自分磨きをするとしよう。

手始めに、6万円ぐらいかけてメンズサロンでヒゲ脱毛した。

彼女には「ファッションとして生やしている」と言っていたが、実際は剃っても青髭になってしまうし、カミソリ負けで汚らしい肌になるので生やしていただけなのだ。

脱毛すれば、もうそんな悩みもなくなる。

お金はそこそこかかってしまったが、予想以上に肌もきれいになって、清潔感のある顔になったと思う。

次に手をつけたのが、髪型。

男にしては長めの髪の毛なのだが、これもヒゲと同じく、こまめに切るのが面倒くさいから伸ばしていただけだ。

ファッション誌に載っていた記事を読んだ限り、男の長髪にマイナスイメージを持っている女性はかなり多いようだ。変えるならショートヘア一択だろう。

いつも利用している千円カットではなく、美容院をインターネットで探して予約した。

リクエストした髪型は、ソフトモヒカンのツーブロック。

耳周りと襟足がすっきりしたことで、むさ苦しい感じがなくなり、清潔感が出た。

ヒゲ脱毛し、髪型を変えたのを機に、今までは怠っていたスキンケアをすることにした。

使用したのはオールインワンジェル。

ドラッグストアで千円程度の安物を買ったのだが、使用する前と比べて、肌のツヤは明らかに増した。

なんか最近、カッコよくなったね

スキンケアを始めて間もなく、職場の女性の先輩からそう褒めてもらった。

お世辞だとは思うが、お世辞でですらルックスを褒められたことがなかった僕からすれば、跳び上がるほど嬉しかった

髪型の次に手をつけたのは、体型だ。

僕は前々から、腹回りがぽっこりとしていた。

まだ二十代前半なのに、この体型は流石にヤバい

そう危機感は抱いていたのだが、ダイエットをするのが億劫だったので、サイズが大きめの服を着て誤魔化してきた。

でも、自分を磨いて魅力的な男になると決めた以上は、体型の改善にも取り組まなければなるまい。

ダイエットに欠かせないことと言えば、食事制限と運動だ。

僕は普段の食事はコンビニ弁当やカップ麺に頼ることが多く、休日は外食をすることが多い。

甘いものが好きなので、間食は多い方だ。

ダイエットを成功させるためには、乱れた食生活を正す必要がある。

コンビニ弁当、カップ麺、外食。

それらとはすっぱりと縁を切って、代わりにスーパーで惣菜を買うことにした。勿論、野菜が中心だ。

炭水化物に含まれる糖質は、過剰に摂取すると脂肪として蓄えられるらしいので、ご飯やパンの量は控えめにするよう心がけた。

甘いものは大好物なので、誘惑に打ち克つのは難しかった。

全く口にしないようにすると、我慢しきれなくなった時の反動が怖かったので、食べる量と頻度を徐々に減らしていくことにした。

食事制限に並行して、運動も行うことも忘れてはいけない。

ダイエットのために運動と言えば、ウォーキングやランニング。

きつい運動をした経験がない僕には、ウォーキングの方がいい。

仕事から帰ってからはゆっくりしたかったので、朝の三十分間、コースを決めて歩くことにする。

毎朝早起きをしてウォーキングに出かけるのは、はっきり言ってきつかった。

前日の疲労がとれない朝には、ついついサボってしまうこともあった。

しかし続けてサボってしまうと、何日もズルズルと休んでしまいそうな気がしたので、二日連続でサボることだけは避けるようにした

時々甘いものを食べたり、ウォーキングをサボったりしながらも、粘り強く食事制限と運動を継続した。

少しずつではあるが、腹回りは着実に痩せていった

たとえ少しだとしても、結果が出ればやはり嬉しいし、もっと痩せてやろうという気持ちになる。

ダイエットを始めてから二か月が経つ頃には、甘いものは滅多に食べなくなった。

ウォーキングをサボることはなくなり、歩く時間は半時間から一時間に増えた。

スリムな体型になってきた頃から、服装選びにも気をつかい始めた。

服装の色は、爽やかな印象を与える青と白で統一するよう心がけた。

サイズは、トップスもボトムスも、サイズが大きめのものではなく、体にぴったりと合うものを選ぶようにした。

休日に女友達と遊んだ時、服装はどうかと尋ねてみたところ、センスがいいと褒めてもらった

ただし、爪が汚いとか、靴が汚れているとか、細かいところにダメ出しを食らってしまった。

女友達曰く、女は見ていないようで、そういう細かいところまでチェックしているらしい。

靴は新品に買い替え、定期的に磨くようにした。

爪の手入れもするようにした。

他にも、歯のホワイトニングをしたり、香水をつけるようにしたりと、自分の魅力を高めることならどんな小さなことでもやった。

ダイエットを始めて半年もすると、腹回りは完全にすっきりした。

その頃になると、友達や職場の同僚から、容姿について褒められることが多くなった。

女友達からデートの誘いを受けるようにもなった。

これまでは、こちらから女の子にアプローチしても相手にもされなかったことを考えると、格段の進歩だ

元彼から復縁の電話?!

そんな折、元カノから突然電話がかかってきて、復縁を求められた

あれからずっと僕の親友と交際していたが、ささいなことが原因で別れた。

新しいかれし出会いを探していたところ、僕の噂を友達から聞き、どかで僕の様子も実際見たようだ。

「見違えるようななったよね!私のせいかな、それで頑張ってくれたのかな・・・」

ヨリを戻すのが目的と分かった瞬間から、僕の返事は決まっていた

「君は自分に見合う男を彼氏に選ぶべきだ。僕は君とは付き合えない。さようなら

きっぱりと申し出を断り、通話を切った。

ある意味、あのことがあったから、今の僕がある。

その意味では、元彼女の感謝すべきかもしれない

でもよりを戻す気にはとてもなれなかった、なんか上から目線のような気もしたのも気に障ったが・・・

もっと僕はこんなに努力したんだから、もっと心の優しいいい女と付き合えるとという自信もあったのだ。

その日の夜、僕は職場の女性の先輩をデートに誘った。

僕が自分磨きを始めた頃に「最近カッコよくなったね」と言ってくれた先輩だ。

彼女は良く気が利き、社内の反応もすこぶる良い女性で、僕には高値の花と思っていた、とても魅力的な女性だ。

もともとダメ男のときから、優しくはしてくれていたし、僕が変わったからって態度を変えていないところがなによりうれしかった。

食事のあと、人気のない公園で想いを打ち明けた。

[st-kaiwa4]「先輩のことが前から好きでした。僕と付き合ってください」[/st-kaiwa4]

[st-kaiwa8]「えっ、私でいいのかな……」[/st-kaiwa8]

実は、先輩は、僕が付き合っていた彼女と別れてから、悔しくて努力していることをうすうす感づいていた

[st-kaiwa4]「はい、最初は降られて彼女への腹いせに、自分を磨いていました・・・」[/st-kaiwa4]

[st-kaiwa4]「でも、途中で気づいたんです、努力したら、もしかしたら高値の花と思ってみていただけの先輩にも」[/st-kaiwa4]

[st-kaiwa4]「僕の手が届くのかもしれない、努力できた僕だったら、先輩を本気で好きになってもいいのかもしれないと・・・」[/st-kaiwa4]

[st-kaiwa4]「最近は、先輩に告白するために自分を磨いている僕がいました。」[/st-kaiwa4]

[st-kaiwa4]「だから、告白しました。これからも先輩に見合う男になるためにずっと自分を磨き続けます。だから付き合ってください!」[/st-kaiwa4]

[st-kaiwa8]「そう……ありがとう、うれしいな……うん、喜んで」[/st-kaiwa8]

先輩ははにかむようにほほ笑み、僕の申し出を快諾した。

半年に及ぶ我慢、忍耐の努力が報われた瞬間だった。

告白

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